今回お話しする内容は、以前の記事を参照した方が良い場合があります。
なのでその都度、記事へのリンクを付けておこうと思います。
まずは自然界で働く「力」についてです。重力と電磁気力は恐らくご存知で
すよね。ミクロの世界にはそれ以外に2つの「力」があります。
1つ目は原子核の中で陽子と中性子をくっつける力で、「強い力」と呼ばれ
ています。
2つ目はベータ崩壊を起こす力で、「弱い力」と呼ばれています。
参照⇒
エネルギー保存の法則から予言されたニュートリノ
自然界に存在する4つの力をたった1つの原理で説明したい、と研究されて
現在までに到達したのが、力を伝える素粒子ボソンを含む素粒子の標準模型
です。
参照⇒
素粒子の標準模型
注:まだ4つの力を統一するまでにはいたっていません。
さて、本題に入りましょう。電磁気力の場合の力を伝える素粒子ボソンは「光子」
です。(「光子」は光の一粒ととらえてもらっていいかと思います。)この「光子」を
使って、電磁気力をどのように説明しているのかをお話ししたいと思います。
私たちの身の回りで見られる電磁気力は「電荷」と「電磁場」の相互作用とし
て説明されています。それをそのまま電子や陽子などの電荷を持つ粒子(荷
電粒子)に適用すれば、「荷電粒子のまわりに電場が生じる」となります。
でも、ミクロの世界の電磁気力の説明では「電場が生じる」とは考えず、「光子」
を交換していると考えます。
ここまでの説明ではさっぱりイメージがわかないと思います。さらに説明していく
んですけど、ここから先は以前の記事でふれた不確定性原理を再確認してから
読み進んでください。
参照⇒
ミクロの世界ではあいまいさを0にできない
荷電粒子は常に「光子」を吸ったり吐いたりしています。荷電粒子Aが吐き出した
「光子」をほかの荷電粒子Bが吸い込むことでAとBの間に力が働く、と考えるん
です。
なんとなくイメージが分かったでしょうか?でも「荷電粒子Aが吐き出した『光子』」
という部分は実はエネルギー保存の法則を破っています。
吐き出す「光子」をつくるにはエネルギーが必要で、それを何もない空間から借り
てきているんですね。その「光子」を荷電粒子Bが吸い込んだ時点でエネルギー
の貸し借りがなくなっているんです。
「はぁ?なにそれ」と思われますよね。でもこれも不確定性原理で説明できる話の
内容なんです。
不確定性原理の記事でご紹介したこの式
(位置のあいまいさの幅)×(運動量のあいまいさの幅)>プランク定数
から、エネルギーと時間の関係を表す次の式が導かれます。(説明は省略します)
(エネルギーのあいまいさの幅)×(時間のあいまいさの幅)>プランク定数
この式からこう言えます。「長時間の観測でエネルギーが0だった空間も、ごく短時
間の観測では大きなエネルギーがあってもよい。」話を戻せば、借りてから返すまで
の時間が短ければ短いほど、たくさんのエネルギーを使って光子をつくれる、という
ことになります。
何を言わんとしているか、分からなくなってきましたね。言い変えましょう。
借りる時間が短い(=粒子間の距離が近い)ほど高エネルギーの光子をやりとりで
きる(=伝わる力が強い)。
借りる時間が長い(=粒子間の距離が遠い)ほど低エネルギーの光子をやりとりす
ることになる(=伝わる力が弱い)。
ようやく実感と一致できる説明になりましたね。つじつま合わせの説明のようですが、
今回の説明部分に関しては実証されている内容だと私は理解しています。
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今回もこの本の内容を参考にしています。
宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)