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湯川理論


水素原子以外の原子は原子核内にプラスの荷電粒子である陽子を
複数個持っています。プラスの荷電粒子どうしにはお互いを遠ざけよ
うとする電磁気力が働くことはご存知ですよね。

実際のところ原子核はバラバラにならずにいる訳ですから、その電磁
気力を上回る何らかの引力が働いていることになります。この力が前
回お話した4つの力の中の「強い力」です。
参照⇒電磁気力は粒子が光子を吸ったり吐いたりして伝わる

この「強い力」を、未知の粒子「中間子」で説明したのが湯川理論です。
湯川理論では「陽子と陽子が『中間子』を交換することで結びついてい
る」と考え、加えてその「中間子」の重さも予言しました。

重さを予言できる理由を説明したいと思います。

「強い力」は「電磁気力」を上回る強さの力だから原子核がバラバラに
ならない、と先程お話ししましたね。でも原子核に陽子が自然にくっつ
いていく(軽い元素がどんどん重い元素になる)ことはありませんね。

ということは「強い力」の到達距離が原子核の直径程度だと考えられ
ます。先程参照していただいた記事の中に、「粒子間の距離が近い」と
いうことは「エネルギーを借りる時間が短い」ということで、その場合に
は使えるエネルギーが大きくなる、というお話しがあります。

ここで恐らく皆さん見覚えのある式が登場します。
アインシュタインの E=mc² です。

言葉で書けば
(エネルギー)=(質量)×(光速)²
となります。

この式から「エネルギーが大きい」ということは「質量が大きい」という
ことになります。そして到達距離から順を追って計算すると「中間子」
の重さが予言できる、という訳です。

この予言された「中間子」は1947年に発見され、「パイ中間子」と名
付けられました。そしてその2年後の1949年に湯川さんはノーベル
賞を受賞したんですね。




今回の内容から「パイ中間子」は素粒子の標準模型で「ボソンの一種」
と思われるかもしれません。実は「パイ中間子」はクォークからできてい
る粒子で、「強い力」を伝えるボソンの名前は「グルーオン」といいます。

中間子の発見以後の研究からそのように分かった訳ですけど、次の記事
はそう分かっていく過程のお話になる予定です。




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今回もこの本の内容を参考にしています。
 宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)






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電磁気力は粒子が光子を吸ったり吐いたりして伝わる


今回お話しする内容は、以前の記事を参照した方が良い場合があります。
なのでその都度、記事へのリンクを付けておこうと思います。


まずは自然界で働く「力」についてです。重力と電磁気力は恐らくご存知で
すよね。ミクロの世界にはそれ以外に2つの「力」があります。

1つ目は原子核の中で陽子と中性子をくっつける力で、「強い力」と呼ばれ
ています。

2つ目はベータ崩壊を起こす力で、「弱い力」と呼ばれています。
参照⇒エネルギー保存の法則から予言されたニュートリノ

自然界に存在する4つの力をたった1つの原理で説明したい、と研究されて
現在までに到達したのが、力を伝える素粒子ボソンを含む素粒子の標準模型
です。
参照⇒素粒子の標準模型
注:まだ4つの力を統一するまでにはいたっていません。


さて、本題に入りましょう。電磁気力の場合の力を伝える素粒子ボソンは「光子」
です。(「光子」は光の一粒ととらえてもらっていいかと思います。)この「光子」を
使って、電磁気力をどのように説明しているのかをお話ししたいと思います。

私たちの身の回りで見られる電磁気力は「電荷」と「電磁場」の相互作用とし
て説明されています。それをそのまま電子や陽子などの電荷を持つ粒子(荷
電粒子)に適用すれば、「荷電粒子のまわりに電場が生じる」となります。

でも、ミクロの世界の電磁気力の説明では「電場が生じる」とは考えず、「光子」
を交換していると考えます。

ここまでの説明ではさっぱりイメージがわかないと思います。さらに説明していく
んですけど、ここから先は以前の記事でふれた不確定性原理を再確認してから
読み進んでください。
参照⇒ミクロの世界ではあいまいさを0にできない

荷電粒子は常に「光子」を吸ったり吐いたりしています。荷電粒子Aが吐き出した
「光子」をほかの荷電粒子Bが吸い込むことでAとBの間に力が働く、と考えるん
です。

なんとなくイメージが分かったでしょうか?でも「荷電粒子Aが吐き出した『光子』」
という部分は実はエネルギー保存の法則を破っています。

吐き出す「光子」をつくるにはエネルギーが必要で、それを何もない空間から借り
てきているんですね。その「光子」を荷電粒子Bが吸い込んだ時点でエネルギー
の貸し借りがなくなっているんです。

「はぁ?なにそれ」と思われますよね。でもこれも不確定性原理で説明できる話の
内容なんです。

不確定性原理の記事でご紹介したこの式
(位置のあいまいさの幅)×(運動量のあいまいさの幅)>プランク定数
から、エネルギーと時間の関係を表す次の式が導かれます。(説明は省略します)
(エネルギーのあいまいさの幅)×(時間のあいまいさの幅)>プランク定数

この式からこう言えます。「長時間の観測でエネルギーが0だった空間も、ごく短時
間の観測では大きなエネルギーがあってもよい。」話を戻せば、借りてから返すまで
の時間が短ければ短いほど、たくさんのエネルギーを使って光子をつくれる、という
ことになります。

何を言わんとしているか、分からなくなってきましたね。言い変えましょう。

借りる時間が短い(=粒子間の距離が近い)ほど高エネルギーの光子をやりとりで
きる(=伝わる力が強い)。

借りる時間が長い(=粒子間の距離が遠い)ほど低エネルギーの光子をやりとりす
ることになる(=伝わる力が弱い)。

ようやく実感と一致できる説明になりましたね。つじつま合わせの説明のようですが、
今回の説明部分に関しては実証されている内容だと私は理解しています。




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今回もこの本の内容を参考にしています。
 宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)





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物理学科進学アドバイス


前回の記事内容を振り返っていて、物理学科への進学を検討中の方に
対してアドバイスしてみたくなってしまいました。内容を読み変えていた
だければ、他の学科への進学の場合にも応用できると思います。



物理学科の中にも、さらに専門別に研究室というものがあって、私の
通った大学では3年目になってその中の一つの研究室を選ぶよう指示
がありました。私はその段階で初めて、その大学には素粒子物理学の
研究室が無いことに気付きました。

(1つ目のアドバイスです)
大学選びの段階で、どんな研究室がその大学にあるのか調べておくべき
だったんですね。せっかく物理学科に進学しても本当に勉強したいことを
勉強できないんじゃもったいないですよね。


また、大学では学年の初めに自分で受講科目の選択、スケジュール組
みをして、履修表というものを大学に提出しました。私の場合は、特に方
向性の無いスケジュール組みをしてしまい、何を勉強したのか分からな
い結果になってしまいました。

本当に勉強したいことがはっきりしていれば、前回の記事のように勉強
しなければならないことが明らかになってきます。勉強しなければならな
いことが明らかになっていれば、その科目を中心に置いたスケジュール
組みができますよね。

(2つ目のアドバイスです)
大学への入学が決まったら、本当に勉強したいことに関する本を読んで、
何を勉強していく必要性があるのか確認しておくべきなんだと思います。



学費を無駄にしないためには、進学検討段階からあれやこれや調べたり、
準備したりしなければならないんだと、今頃になって気付きました。
気付くのが遅すぎですよね。




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