弱い力 ~ ヒグス粒子

私が参考にしてきたこの本
 宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)
も終盤に近付いたんですけど、さすがに一般の方に理解してもらえるように
説明するのは難しいお話しばかりになってきました。

ということで、今回もまた、かなりざっくりとした説明になりそうです。
あらかじめご了承ください。



これまでに電磁気力と強い力の説明をしましたね。今回は弱い力を説明します。


 陽子と中性子をつくっているクォークの種類
その予備知識としてまずは、陽子と中性子をつくっているクォークの種類のお話し
をしておきます。クォークの種類は6種類あるんですけど陽子と中性子をつくって
いるのは、アップクォークとダウンクォークの2種類です。

陽子はアップクォーク2つとダウンクォーク1つからできています。
中性子はアップクォーク1つとダウンクォーク2つからできています。


 弱い力が働いている現象の例
本題の弱い力の説明に入ります。
 電磁気力は粒子が光子を吸ったり吐いたりして伝わる
の回で、「弱い力はベータ崩壊を起こす力」と軽くご紹介していました。ベータ崩壊
では中性子が陽子に変わり(ダウンクォーク1つがアップクォークに変わり)、電子
とニュートリノが放出されます。

他にも弱い力が働いている現象があります。

太陽では水素原子4つがヘリウム原子1つになるという核融合反応が起こっていま
す。この反応では陽子が中性子に変わり(アップクォーク1つがダウンクォークに変
わり)、陽電子とニュートリノが放出されます。この際に弱い力が働いています。

「弱い力はクォークとレプトンに働く力」と理解するのが良いようです。
参照⇒素粒子の標準模型

 弱い力を伝えるボソン
弱い力を伝えるボソンですが、電荷によって2つの名前が付けられています。
Wボソン・・・電荷を持ち、+と-のものがある。
Zボソン・・・電荷を持たない。
すべてまとめて呼ぶ場合は、ウィークボソンと呼んでいます。

先に挙げた例で言えば、ベータ崩壊では1つのダウンクォークから-電荷のWボソン
が放出され(アップクォークに変わり)、そのW(-)ボソンがすぐに電子とニュートリノ
に崩壊します。

核融合の場合では、1つのアップクォークから+電荷のWボソンが放出され(ダウン
クォークに変わり)、そのW(+)ボソンがすぐに陽電子とニュートリノに崩壊します。

弱い力の到達距離は強い力の1000分の1程度です。
 湯川理論
の回で到達距離が短いと力を伝える粒子の質量が大きいというお話しがありました
ね。ウィークボソンはパイ中間子と比較にならないほど重い粒子です。


 素粒子に質量を与えるヒグス粒子
 電磁気力は粒子が光子を吸ったり吐いたりして伝わる
の回で、自然界に存在する4つの力をたった1つの原理で説明したいと研究されてい
る、と触れました。電磁気力と弱い力を統一的に扱う理論はできていて、エネルギー
を高めていくと両者の値が近づくことも分かっているそうです。

電磁気力は光子の交換で伝わるので、無限に遠くまで届きます。それに対して弱い
力は今回お話ししたように、原子核の直径の1000分の1しか届きません。光子が
質量を持たないのに対してウィークボソンが重いからですね。

もともとは同じ力だったとしたら、なぜウィークボソンの方だけが重くなったのか?
この疑問の説明としてヒグス粒子というものが考えられています。

「粒子は宇宙に充満しているヒグス粒子にぶつかることで重さを得る」と考えられている
んです。またヒグス粒子は電気を持っていないので電磁気力を伝える光子は反応せず
に素通りできる(=質量を持たない)と考えられています。

ヒグス粒子は理論的に予測されているだけで、まだ発見されていません。ヒグス粒子が
発見されれば、標準模型が完成したことになるんだそうです。



宇宙が何からできていて、どんな法則に支配されているのかを説明するのが「標準模型」
で、その完成が間近だということです。自然科学ではよくあることですが、この標準模型で
は説明のつかない謎が次々と出てきているとのことです。

次回はその謎に関するお話しになる予定です。





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